症例で学ぶ画像の見方

足部X線画像の見方:見落としやすいリスフラン関節脱臼骨折を捉える

Tags: 足部X線, リスフラン関節損傷, 骨折, 画像診断, 放射線技師

はじめに

この記事では、足部のX線画像において、見落としやすいリスフラン関節脱臼骨折をどのように捉えるかに焦点を当てて解説します。リスフラン関節損傷は、比較的まれな疾患ですが、診断が遅れると重篤な機能障害につながるため、放射線技師としても重要な知識となります。経験年数に関わらず、日常業務で足部X線画像を扱う際に役立つ実践的な情報を提供いたします。

症例提示と画像解説のポイント

リスフラン関節は、足根骨(内側、中間、外側楔状骨、立方骨)と5つの中足骨の基部からなる複合関節です。足部のアーチ構造を支持する上で重要な役割を果たしています。リスフラン関節脱臼骨折は、多くの場合、高エネルギー外傷によって生じますが、スポーツ活動などによる比較的軽微な外傷でも発生することがあります。

X線画像での評価では、AP(前後)、oblique(斜位)、lateral(側面)の3方向の画像が基本となります。これらの画像を見る際には、骨折線そのものだけでなく、関節のアライメントに特に注目することが重要です。

骨折に関しては、関節のアライメント異常に伴って、特にリスフラン靭帯の付着部である第2中足骨基部や内側楔状骨の背側部に小さな剥離骨折(avulsion fracture)を伴うことが少なくありません。この剥離骨折自体は小さいことが多いですが、リスフラン関節の不安定性を示す重要な手がかりとなります。微細な骨折線を見落とさないよう、注意深く観察する必要があります。

画像の見方のポイント

リスフラン関節脱臼骨折を見落とさないためには、以下の点を意識することが有効です。

臨床的な意義・注意点

リスフラン関節脱臼骨折は、適切な治療が行われないと足部のアーチ構造が破綻し、慢性的な疼痛、変形性関節症、歩行困難といった重篤な後遺症を残す可能性があります。早期に正確な診断を行い、適切な固定や手術療法につなげることが非常に重要です。

放射線技師としては、外傷性の足部X線撮影を行う際には、単なる「骨折があるか」だけでなく、「関節のアライメントはどうか」という視点を常に持ち、特にリスフラン関節領域を注意深く観察することが求められます。見落としやすいサインに気づき、医師に適切な情報を提供することが、患者さんの予後に大きく影響する可能性があることを認識しておく必要があります。

また、撮影時にも協力が得られる患者さんであれば、アライメント評価のために可能な範囲で適切な体位を保持してもらうことも質の高い画像を提供する上で大切です。

まとめ

この記事では、足部X線画像におけるリスフラン関節脱臼骨折の見方について解説しました。リスフラン関節損傷の診断においては、骨折線の探索に加え、関節のアライメント評価が極めて重要であることを理解していただけたかと思います。

これらのポイントを日々の画像評価に活かしていただくことで、見落としがちなリスフラン関節損傷を早期に捉え、患者さんの適切な治療に貢献できるようになることを願っております。