症例で学ぶ画像の見方

腹部CT画像の見方:尿路結石をどう捉えるか

Tags: 腹部CT, 尿路結石, 泌尿器, 画像診断, 放射線技師

はじめに

腹部CT検査において、尿路結石は比較的遭遇頻度の高い疾患の一つです。特に、急性側腹部痛や血尿を主訴とする症例では、その診断に腹部CTが重要な役割を果たします。放射線技師として、尿路結石を的確に描出し、その情報を医師に提供することは、迅速な診断と適切な治療方針の決定に不可欠です。

この記事では、腹部CT画像における尿路結石の見方の基本と、臨床的な意義、そして放射線技師が注意すべき撮影・画像処理のポイントについて解説します。

症例提示(解説パート)

尿路結石が疑われる症例では、通常、無造影腹部骨盤CTが第一選択となります。画像を見る際には、まず以下の点に注目します。

画像を読む際には、通常の軟部組織条件のウィンドウに加え、骨条件に近いウィンドウ(ウィンドウ幅を広く、ウィンドウレベルを高く設定)を使用すると、結石のような高吸収域がより鮮明に描出されやすくなります。また、スライス厚が薄い画像は、小さな結石や、部分容積効果による偽陰性を減らすのに役立ちます。

画像の見方のポイント

尿路結石の画像評価において、いくつか重要なポイントがあります。

臨床的な意義・注意点

放射線技師として、尿路結石のCT検査において知っておくべき臨床的な背景や注意点があります。

まとめ

腹部CTにおける尿路結石の描出と評価は、放射線技師にとって基本的なスキルの一つです。画像の見方の基本として、尿路に沿った高吸収域の検索、水腎症の評価、周囲変化の確認が挙げられます。特に無造影CTでの観察が重要であり、静脈石など他の石灰化との鑑別、小さな結石や非石灰化結石の描出には、ウィンドウ条件の調整やMPR、MIPなどの画像処理が有効です。また、閉塞性腎盂腎炎といった緊急性の高い病態を示唆する所見を見落とさないこと、被ばく線量への配慮も放射線技師の重要な役割です。日々の業務の中で、これらのポイントを意識して画像を見ることで、より質の高い検査を提供できるようになります。